中小企業において退職金制度を整備し、社員の退職時に規定に従って支給している会社は比較的少ない状況です。支給実績を持っている中小企業は、比較的業暦の長い会社に多く、その分退職金の要支給額が多額になっている特長が見られます。

 このような状況から、最近退職金制度を見直して、支給額の減額検討や制度そのものの廃止に伴う打ち切り支給を進めていかれる中小企業もあります。
 いずれにしても、先行き不安の中小企業にとって退職金の支払いは、通常は目に見えないものですが、実際の支給時点では業績を大きく左右する状況となっています。

 一方社員にとって見ると、入社時に退職金制度があることも、入社の判断を行う重要な要因であったことは事実です。ましてや定年が近づいてきている社員にとって、昨今の年金問題と重なって、老後の不安を解消する一つの手段として、退職金を確実に受給することは死活問題といえます。

 双方の問題可決の接点は「十分な話し合いと明確な今後の制度運用」です。

 中小同族会社にありがちな、経営者の一方的な制度変更は、社員の強硬な反発にあうでしょうし、また業績不振の会社にあっては企業存続そのものに影響を与えかねません。

 制度は制度として、実際の退職金支給を現実的に実施していく為にも、社会保険労務士や人事専門の弁護士などに相談をしつつ、法律と実状のバランスを取りながら会社としての責任を、その他の代替案も視野に入れて果たしていかなければなりません。

 長期的ですが継続的重要課題である退職金問題だからこそ、見過ごすことの無いように的確な運用を図って、社員のモラルが低下しないように留意すべきでしょう。

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