先日、「持っている株が下がったので、決算での利益額が圧縮できる」と思っていた社長にお会いしました。弊社のお客様ではありませんでしたので、詳しいことまではお伺いしませんでしたが、実際には、「株」の用途によって処理が異なってきます。
 有価証券(株式・債券・投資信託等)は、保有目的の観点から、以下の4つに分類し、原則としてそれぞれの分類に応じた評価を行います。

 1.売買目的有価証券
 2.満期保有目的の債権
 3.子会社株式及び関連会社株式
 4.その他有価証券

 評価は毎期行い、1と2は評価差額が「損益」に影響します。
 利益を圧縮したい企業は評価差額(損)を計上したいところですが、売買目的有価証券とは、短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券(企業支配株式を除く)であって、以下に掲げるものとされています。

1.専担者売買有価証券(トレーディング目的の専門部署を設置している場合に、その目的のために取得した有価証券)

2.短期売買有価証券(短期売買目的で取得したものである旨を帳簿書類に記載した有価証券)

3.金銭の信託に属する有価証券(金銭の信託のうち信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨を他の金銭の信託と区分して帳簿書類に記載したもの)

 つまり、上記のいずれにも該当しない場合は、時価で評価した評価差額が「損益に反映されない」こととなります。
 決算書の表示箇所も大切になってきます。売買目的有価証券の場合は基本的に「流動資産の箇所に有価証券」として評されていると思われます。実際に「固定資産の箇所に投資有価証券」として表示していた有価証券の評価差額(このときは損でした)を税務調査で否認されたことがある企業もあります。
 有価証券の取扱はデリケートなものになっておりますので、顧問税理士の先生とよく相談なさった上で、購入されることをお勧めします。

文責 北九州支店


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