前回の労働者派遣「2009年問題」に引き続き、今後予定される労働者派遣法の改定について取り上げます。今回、厚生労働省は現段階では法律案ですが、以下のとおり法律案要綱を取りまとめ、労働政策審議会に諮問しています。

■平成21年10月1日施行■

・派遣事業の許可、開始の欠格事由の追加
・労働者派遣事業の業務の内容に係る情報提供義務の創設
 派遣元事業主は、事業所ごとの派遣労働者の数、派遣を利用した企業の数、労働者派遣料金の平均マージン率、教育訓練に関する事項について、情報の提供を行わなければならない。
・紹介予定派遣
 労働者派遣契約の締結に際し、当該職業紹介により従事すべき業務の内容および労働条件その他の紹介予定派遣に関する事項を定めなければならない。
・期間を定めないで雇用される労働者に係る特定を目的とする行為の解禁・特定についての取扱い禁止
 労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約の当事者が合意したときは、期間を定めないで雇用される派遣労働者の中から特定することを目的とする行為を解禁する。派遣労働者の特定について、年齢や性別を理由に差別的取扱いをしてはならない。
・有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等
 派遣元事業主は、その期間を定めて雇用する派遣労働者または派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者の希望に応じ、期間を定めないで雇用する派遣労働者としての就業機会確保や、紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れるなどの措置を講ずるように努めなければならない。
・派遣労働者の職務の内容等を勘案した賃金の決定
 派遣労働者の従事する業務と同種の業務に係る一般の賃金水準その他の事情を考慮しつつ、その職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、賃金を決定するように努めなければならない。
・期間を定めないで雇用される労働者に係る派遣先の労働契約申込義務
 派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けることができる期間に制限のない業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合、当該派遣労働者について期間を定めないで雇用する労働者である旨の通知を受けていれば、当該派遣労働者に対し、労働契約の申込みをしなくてもよい。
・派遣先が法違反を行った場合、指導又は助言の前置をせず、是正を勧告できる。
・派遣先企業にも一定の責任がある場合、厚生労働大臣は派遣先企業に労働者の労働契約の申込み(直接雇用)を勧告することができる。


■平成22年4月1日施行■

・関係派遣先への労働者派遣の制限
・日雇労働者についての労働者派遣の禁止
・離職した労働者についての労働者派遣の禁止

 
 違法派遣や日雇の問題などが相次いだこともあり、今回の内容は労働者派遣の保護と派遣元・先への規制が強化されているようです。改正法成立に向けて、今後の動向にますます注意が必要となります。

文責 ヒューマニー事業部


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