組織再編成に係る行為計算の否認(法人税法第132条の2)とは、「税務署長は、合併等に係る一定の法人の法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税額を計算することができる。」という規定です。
 簡単にいうと、「租税を回避する目的のためだけに合併、分割、現物出資、事後設立、株式交換・移転等の組織再編成を行なうことは認められません。」ということです。

 例えば、次のような場合がこの規定にあてはまると思われます。

1.組織再編成を行った場合に、一定の要件に該当すれば、被合併法人や分割法人の青色繰越欠損金を引き継ぐことができます。この規定を利用してグループ企業などで、グループ内にある黒字の会社と欠損会社とを合併等させることによりグループ全体の税負担を軽減させようとする場合

2.組織再編成により含み損のある資産を引き継ぐときには、一定の要件を満たせばその含み損を合併法人等に引き継ぐことが可能ですが、含み損を引き継ぐ目的だけのために組織再編成を行った場合

3.資本金等を引き下げ中小企業者の優遇税制の恩恵を受けるためだけに組織再編成を行った場合

4.対象法人の各種税額控除の控除限度額・交際費等の定額控除限度額・寄附金の損金算入限度額等を利用する目的だけのために組織再編成を行った場合

5.複数の組織再編成を段階的に組み合わせることなどにより、課税を受けることなく、実質的な資産の譲渡や株式の譲渡を行った場合

 したがって、上記に掲げるような組織再編成に係る行為計算の否認の規定の適用を受けないためにも、組織再編成を行うことによって得られるシナジー効果やスケールメリットの測定等を十分に行い、その組織再編成が経済的に合理性をもっていることを明らかにしておく必要性があると考えられます。
文責:企業部


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