所有権移転外ファイナンスリース取引に係る支払利息については、税務上次の点に留意する必要があります。

1.消費税法上の取扱い
  消費税法上は、利息相当額が契約で明示されている場合には、そのリース料の総額から利息相当額を控除した金額が仕入税額控除の対象となります。  
利子込み法により利息相当額を区分して経理していなくても、仕入税額控除の計算上、利息相当額が契約で明示されていれば、リース料総額から利息相当額を控除することになります。
以上のように、消費税法上は、契約書に利息相当額の記載がなければ、記載がある場合に比べて利息相当額部分について仕入税額控除の金額が増加し、納付税額が減少することとなります。

2.受取配当等の益金不算入
  利息相当額を認識する会計処理をした場合には、受取配当等の益金不算入額の計算上、その支払利息相当額を負債利子に含めなくてはなりません。結果として、益金不算入額が減少することになり、所得金額・納付税額が増加することになります。

3.事業税―外形標準課税
  リース取引における契約書等で、利息相当額を合理的に区分している場合には、その支払利息を付加価値割の計算に含むものとされています。
  ただし、企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引(リース料総額が300万円以下等)で、利息相当額を控除しない利子込み法を採用した場合には、会計上支払利息が計上されることはなく、支払利息を付加価値割の計算に含めないことになっています。
  以上により、契約書に利息相当額の記載のない方が、利息相当額の記載がある場合に比べて納付税額が減少することとなり、また、契約書に記載があっても、利子込み法を採用した方が、利息相当額を区分経理する方法よりも納付税額が減少することとなります。
 
4.試験研究費の特別控除
  支払利息を区分して経理した場合には、リース料総額から利息相当額を控除した金額を基礎として試験研究費の支出額が計算されます。
  よって、利息相当額を支払利息として認識すると、税額控除額が減少し、納付税額が増加することとなります。
   

  以上により、いずれの取扱いにしても、利息相当額を認識しないほうが税法上有利になるケースが多いと考えられます。これから契約するリース取引については、「契約書に利息相当額を記載しないようにリース会社に要求する」「会計上利子込み法を採用できる場合には、利子込み法を採用する」といったようなことも考えなくてはならないと思われます。
文責:企業部1部


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