第5次医療法改正により、平成19年4月以降に設立するものは「持分の定めのない社団医療法人(又は財団医療法人)」に限られることになりました。持分の定めのない社団医療法人では、仮に法人が解散した場合、残余財産は国、地方公共団体、他の医療法人(持分の定めのないもの)等に帰属されることになり、出資者である個人(院長先生等)には戻らないこととなりました。これにより、法人化のデメリット部分が目立ってしまい、医療法人の設立を考えない個人開業医の先生も多いかもしれませんが、医療・法人の永続性等を考えますと、法人化のメリットには大きなものがあります。ぜひ一度検討されてはいかがでしょうか?

【メリット】
1.節税効果
 (イ)所得税の超過累進税率から、法人税の2段階比例税率を適用することにより、税負担を軽減することができます。(平成21年度の税制改正において、平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の部分に対する法人税の税率が22%から18%に軽減されました。)
 (ロ)院長先生及び院長先生夫人等の家族を役員とすることで、医療法人から役員報酬を受けることになり、効果的な所得の分散が図れます。又退職時には、役員退職金を受け取ることができます。

2.社会的信用の確立
 (イ)法人会計を採用することにより、診療所の経営の収支と個人の家計の収支を明確に分離することができ、適正な財務会計が可能となります。
 (ロ)金融機関等への対外的な信用が高まります。
3.経営体質の強化
 (イ)社会保険診療報酬の源泉徴収がなくなるため、資金の有効利用ができます。
 (ロ)相続(事業承継)では、個人開業医の場合には、病医院の建物土地、医療用機械、借入金等の全てが相続財産となりますが、医療法人の場合の相続財産は、医療法人の出資持分になりますので相続対策等を計画的に進めることができます。
 (ハ)分院や介護事業への事業拡大も可能になります。

【デメリット】
1.経営上のデメリット
 (イ)医療法人は付帯業務禁止規定により、業務範囲が制限されます。
 (ロ)医師個人は、役員報酬を受け取ることになり、役員報酬以外の自由に処分できる資金がなくなります。
 (ハ)社会保険の加入が強制になります。
 (ニ)都道府県知事による立ち入り検査等の指導が強化されます。

2.税務上のデメリット
 (イ)交際費として、経費(損金)になる金額に限度が設けられます。
 (ロ)小規模企業共済は、原則として脱退することになります。

【参 考】
 「医療法人の設立・運営と会計・税務」 瀬戸研一、安岐浩一、下條智也著
 「一人医師医療法人のすべて Q&A」 東日本税理士法人編 


文責 医業部


にほんブログ村 士業ブログへ
↑↑ランキングに参加しています。クリックをお願いします。

Pronet Group HP
↑↑弊社ホームページもぜひご覧下さい。




なかのひと