医院開業物語 第3回目は事業計画です。
見込患者数の算定と不動産の所有状況が決まれば、次はより具体的な数字を用いて事業計画を行います。ここでのポイントはなんといっても採算が取れるのかどうかですが、そのためには一つ一つの収入・支出を把握しておくことが重要になってきます。
まずは収入からですが、医業の収入は保険収入と自由診療収入に分かれています。保険収入は、診療によってすべて点数が決められておりますので診療科目によって平均的な診療単価というのがわかります。平均診療単価×見込患者数×診療日数の計算により1ヶ月の見込収入が算定できます。平均診療単価については1つ注意点があります。インターネットで検索してみると平均診療単価というのは容易にわかりますが、近年では診療の差別化が進むなかで平均診療単価というのがあまりあてにならない状況になってきています。例えば消化器内科と循環器内科の診療単価は同じではありませんし、眼科でも手術を行うか否かで診療単価が変わってきます。より正確な収入を算出するためには先生方が出される標榜科目による具体的な診療単価を調べていく必要があります。また、開業後において自院の診療単価が分かれば、そこで事業計画書を作りなおして、現実的な数字を見ていかなければなりません。開業前後の数字の乖離を最小限に抑える必要があります。
収入が決まってくると、次は支出を考えていきます。不動産に関わる経費についてはその所有状況により地代家賃の有無・金額が変わってきます。従業員についても正社員とパートをどのように組み合わせていくのかで人件費が変わってきます。それらを勘案したうえでどれくらいの金額になるのか算出していきます。クリニックの主な支出としては薬品仕入、医療消耗品、地代家賃、リース料、人件費、借入金の返済、そして先生方の生活費があげられます。今あげたものは、開業前でもある程度把握できるものなので、支出額を算定していきます。この収入と支出から採算が取れるかどうかを見ていくのですが、開業当初から先生方の生活費も十分まかなえるだけの収入があがるのは難しいです。特に最初の2ヶ月間は保険収入も入ってきませんのでけっこうな金額がでていきます。開業後数ヶ月間は集患が見込めず不安になられる先生もいらっしゃいますが、事業計画書は自院の把握のために必要不可欠なものでもあり開業当初からの指針となりますので、先生方がしっかりと計画書の中身を見ておくと、現在、計画書上ではどの位置にいるのかを把握しながら診療を行っていけると思います。

文責 医業部
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