平成23年12月に平成24年度税制改正大綱が発表されました。
今回の税制改正が医療機関にどのような影響を及ぼすか、その概要をお伝えします。

今回の改正の中で特に影響が大きいのは「給与所得控除の上限設定」です。      個人事業でクリニックを経営されている先生方には関係ありませんが、医療法人で、役員報酬という形で給与を受けられている先生にとっては増税となってしまいます。    そもそも給与所得控除とは役員・スタッフ等が給与所得を計算する際に給与収入から差し引ける控除分で、給与収入によって控除額がきめられています。           現行の制度では、給与収入が1000万円超であれば、給与所得控除は年収×5%+170万円となっており、給与収入が2000万円であれば270万円の控除額、3000万円であれば320万円の控除額と計算されます。                           これが今回の税制改正により給与収入が1500万円を超える場合の給与所得控除については245万円の上限を設けるとされ、高額所得者にとっては給与所得控除の恩恵が少なくなってしまいます。
所得税と住民税の税率を50%と仮定して増税額を計算してみると給与収入が2500万円であれば25万円の増税、3000万円であれば37.5万円の増税となります。        医療法人の先生方は得てして高額な給与を受け取ることが多いため、この改正の影響を受けてしまうところが多いのではないでしょうか。また、今後医療法人成りを考えられている先生方にとっても影響を及ぼすため、この改正に注目しながら医療法人成りシミュレーションをしておかないと、初めに考えていた節税額と異なることになってしまいます。

その他に注目すべき改正としては、「役員の退職金課税の見直し」です。       退職所得の計算は(退職金-退職所得控除額)×1/2と計算されますので、給与所得に比べて優遇されているのですが、役員等としての勤続年数が5年以下の者の退職所得の計算方法については退職金から退職所得控除額を控除した残額となり、1/2を控除する措置が廃止されてしまいます。                             給与の受取りを繰り延べて退職金を受け取れば税負担を回避することができるため、その防止策として作られた改正項目だと思われます。現在、医療法人において、この制度に該当しそうな役員がいましたら、改めて考えないといけません。

税制改正大綱については改正法案が国会で可決するまでは内容が変更する可能性がありますのでご注意ください。

文責 医業部
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