通常「営業」といえば、お客さんを見つけ売り込んでいくという方法をいいますが、現代のような経済の成熟期には、売り込まれないように身構えるお客さんに対して、敵対的ともいえる営業をすることは簡単ではありません。
今までのような営業方法ではなく、お客さんの方から集まってきていただくことができれば、成熟期においても効率的な「営業」が可能です。
その方法の一つは「エモーショナル・マーケティング」という考え方です。

商品の価値とは・・?
お客というのは購入しようとする商品・サービスの価値が支払う金額よりも高いと感じたときに購買の意思決定をするものです。よって、商品を売ろうと考えるのであれば、①価格を下げる。(割引)  ②商品・サービスの価値を高める。 という2つの方法が思い浮かべられます。
①については、値下げ競争のような泥沼に陥る可能性があり、現状のような経済ではすべきではありません。
②については、価値を高めるということにより、その分の原価やかかる手間や時間が増加し利益が出なくなります。
①②共に打つ手が無いように感じますが、②の商品・サービスの「価値」は2種類存在し、それを理解することが打開策となります。
「絶対的な価値(金額)」
「お客が感じる価値(感情)」
利益を確保したまま、価値を高めるにはお客の感情を考え、「お客が感じる価値(感情)」を高める方法が重要です。
具体的な例としては、夜中の通販の番組などで商品の価格紹介の時に{今ならもう1セット無料でお付けします。}などのフレーズをよく聞きますが、最初から50%値引きした商品の紹介をするよりも、値引きせずもう1セットつけた方がお客の感じるお得度(価値)が高いことが分かっているからと言えます。

いい商品や素晴らしいサービスがこの価格だから売れるハズという金額的(数字)な考え方だけではとても危険であり、お客の感じる価値や感情次第で購買の意思決定が変わることを理解し、それをコントロールできれば高い付加価値や利益を実現することが可能だといえます。

集客の極意とは・・?
ビジネスの本質は簡単に言ってしますと下記のプロセスだけとなってしまいます。
①見込み客を費用効果的に集める。(広告宣伝)
②その見込み客を、成約して、既存客にする。(訪問、プレゼンテーション)
③その既存客に繰り返し買ってもらい、固定客にする。(継続的なアプローチ、サービス)
上記の中で一番重要なものは「①見込み客を費用効果的に集める。(広告宣伝)」です。

「①見込み客を費用効果的に集める。(広告宣伝)」ためにはダイレクトメールやチラシなどの広告宣伝が考えられます。一般的には反応率は1~3%といわれていましたが、広告のありふれた現代では0.3%以下となってしまっているようです。
見込み客を集めることで重要なのは購入する人を集めるのではなく、興味のある人を集めることに徹底することです。「すぐ購入するお客」よりも集めることが簡単で、「そのうち購入するお客」は情報を継続的に与えることで感情的に購買意欲を高めることが可能だからです。また、その他のメリットとして、「押し売り型」の敵対営業ではなく「アドバイザー型」信頼される専門家として自動的にお客様から成約をお願いされる立場となります。これにより②③のプロセスも非常に容易なものとなります。
上記のようにお客の感情を軸として、戦略を立て段階式に営業を設計し、「そのうち購入するお客」を段階的に「購入するお客」に育てることが重要です。そのためには、まず情報ツールによる「興味のある人」を集めることが必要で、お役立ち情報の発信、アンケート、レポートの進呈など、お客と感情的な繋がりを持てるような仕組みづくりがこの営業方法を可能とします。

「エモーショナル・マーケティング」ではお客の感情的な反応を起こすことが重要であり、ダイレクトメールの作り方ひとつでも心理学的な手法を用いるなどの工夫をすることができます。※フォントをワザと不自然なものに変えることや、時間制限付きや顔写真を載せるなど一般的でない方法。集客においても、他社が手を出さない「購入をあきらめたお客」や「そのうちお客」を感情的に育てることにより「購入するお客」に変えたり、ニーズ・ウォンツを感情的に分析することに新しい視点で戦略を練ることができると考えられます。

文責:法人ソリューション部
参考:『あなたの会社が90日で儲かる!』著 神田晶典

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