会社を経営されている方は、「会社の事業にかかった費用は、税務上の費用になる」と認識されていると思います。

一方、会社の決算の時期に税理士等から「会社にかかる法人税、住民税は、税務上の費用にはなりません」と説明を受けて、「あれっ?」とか「へぇ〜」とか思った方もいるかもしれません。

そうなのです。法人税、住民税は税務上の費用になりません。どうしてでしょうか?判りやすく説明している書物が見当たらないのですが、筆者の私見を含めて、以下に説明します。

「会社の決算」にかかる税金には、
 (1)法人税
 (2)住民税(県民税や市民税等です)
 (3)事業税 
等があります。

同様に、「個人の決算」にかかる税金には、(1)所得税、(2)住民税、(3)事業税(但し、一定の事業を行っている場合のみ) 等があります。
「個人の決算」においては、事業所得、不動産所得等に計上される「事業を行っている場合の収入」に加えて、給与所得、雑所得等に計上される「その人の一身に属する家事的収入(=事業以外の収入)」も含めて、
 (1)所得税
 (2)住民税
が計算されます。

そのため、その結果生じる
 (1)所得税
 (2)住民税
は、その計算に家事的収入(=事業以外の収入)が含まれることから「家事関連費」と解釈されるため、事業を行っていても、税務上の費用にはできないと考えます。(なお、厳密な議論では、「所得の発生後において、その所得の帰属主体である「人」を対象として課税されるいわゆる「人税」といわれるもの」で、これは税務上の費用にはできない、とされています)

一方、
 (3)事業税
は、事業を行っている場合にのみかかるため、「事業に係るもの」ということで税務上の費用になります。

 「会社の決算」においてかかる
 (1)法人税
 (2)住民税
も、個人事業との「課税の公平(個人事業者と会社事業者間での不公平を無くす)」の意味から、税務上の費用にはなりません。なお、
 (3)事業税
については、個人の場合と同様に、会社においても税務上の費用になります。

なお、法人税、住民税が税務上の費用にならない理由を、他の書物では「法人の利益の中から納付すべきものであるため」、「所得課税としての性格」「税額を算定するための所得計算上の要請により」等書かれています。判りにくい表現ながらそういう面と筆者の説明を含め、総合的な判断の上、このように決まっているのだと思います。

最後になりますが、上記の説明に、消費税が出てきません。消費税は、個人の場合も法人の場合も、税務上の費用にできます。これは「導入の経緯」からそうなっています。

文責 事業承継部


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