平成20年分の所得税・贈与税の確定申告の期限は、平成21年3月16日となっていますが、この時期、お客様から最も多く相談が寄せられるのが、医療費控除に関するものです。医療費控除とは、本人やその家族が医療機関等に診察費を支払った場合に、一定の所得控除を受けることができるというものですが、近年の医療技術の発達や新しい治療法に伴い、医療費控除できるのか判断を伴うものも沢山あります。今回は、この医療費控除の判断の中でも、「交通費」について注意が必要なポイントを紹介します。

 交通費の中でも代表的なものに、公共交通機関の利用が挙げられます。本人が医療機関等に通院するために支払った電車やバスの運賃は、医療費控除の対象となります。しかし、タクシーを利用した場合や自家用車を利用し駐車場を利用した場合の費用については、医療費控除の対象とはなりません。例外的に、タクシーを利用した場合に医療費控除の対象となるのは、その治療に必要な場合にやむを得ず使用した場合(具体的には、夜中に急病のため受診した際や近所に駅・バス停がない場合等)に限られています。

 また、難病のため、どうしても遠隔地の医療機関等を受診しなければ治療できない場合には、多額の交通費の支払いを強いられます。この場合の交通費についても医療費控除の対象となります。しかしながら、難病のため入院し、付き添いのためご家族が同様の支払いをした場合については、患者さんの年齢や病状にも左右されますが、基本的に医療費控除の対象となりません。また、入院前にホテル等に宿泊した場合については、本人・家族共に医療費控除の対象とはなりません。

 出産される際に里にお帰りになる方も少なくないと思います。出産費用自体は医療費控除の対象となりますが、出産のために里帰りする際に支払った交通費については医療費控除の対象とはなりません。

 交通費等について、医療費控除の対象となるか、対象とならないのかを判断するポイントは、その治療や診断を受けるために直接必要だったかどうか、になります。人は誰でも昔のことは忘れてしまいますから、領収書には何のために使用したか、を明記し判断する側に対するアピールを行うことが必要でしょう。

文責 資産税部


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