相続税を日頃より多く扱う私たちですが、遺産分割については、すんなり終わる場合とそうではない場合があります。
相続税は『相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内』つまり、ほとんどの場合は、お亡くなりになった日の10ヶ月後に相続税の申告書を提出し、相続税額を原則として金銭で一括納付しなければなりません。

もし、遺産分割協議が10ヶ月以内にまとまらなければどうなってしまうのでしょうか?
1. 配偶者の税額軽減が使えない
2. 小規模宅地等の軽減規定が使えない
3. 物納の際、相続人が単独で申請することができない
4. 民法規定の法定相続分で相続税を計算しなければならない 
といった不都合等が生じます。その結果、当初の期限内申告では税額軽減が適用されないため、税額が多額になることが予想されます。しかし、その後遺産分割協議が成立した場合には更正の請求が行える場合がありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

被相続人の遺言書が残っている場合には、被相続人が残した遺言が優先されます。しかし、自筆遺言の場合には勝手に開封してはなりません。家庭裁判所で所定の手続きが必要になり、相続人立会の上で裁判所にて開封となります。この手続きには3ヶ月ほどの時間がかかりますので、早めに手続きを行うことをお勧めいたします。なお、公正証書遺言については、このような手続きを必要としません。なお、遺言が残っているからといっても、相続人間の協議で分割内容を変更することもできます。ただし、相続人以外の方(例・この配偶者)が遺言にて相続する場合は、そういうわけにはいきませんので詳しくは司法書士にお問い合わせください。

そして、相続人の中に未成年者がいる場合にも注意が必要です。未成年者が法律行為を行う場合には、法定代理人(通常は親権者)の同意が必要ですが、親権者ともども相続人であるような場合には、家庭裁判所に請求し、特別代理人を選任する必要があります。そして、特別代理人を選任後、遺産分割協議を行います。この場合にも、時間がかかりますので、申告期限ぎりぎりにならないように家庭裁判所へ請求してください。

現在は、国際結婚も増え、国外に滞在・外国国籍を取得した相続人も多くなりました。遺産分割協議書には印鑑証明書と同じ印鑑を押さなければなりません。しかし、外国国籍を取得した相続人は印鑑証明書がありません。そこで領事館等で署名についての承認を受ける必要があります。
 相続人の中に行方不明者がいる場合も注意が必要です。民法上は不在者が行方不明になってから7年を経ていない場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申立ができません。そのため、家庭裁判所に『不在者財産管理人の選任』の申し立てを行い、選任された管理人と遺産分割を行う必要があります。

 相続人の一部に上記のような方がいらっしゃる場合には、家庭裁判所への請求・申し立て等が必要になりますので、お早めに相続に強い専門家へご相談下さい。

文責 資産税部


にほんブログ村 士業ブログへ
↑↑ランキングに参加しています。クリックをお願いします。

Pronet Group HP
↑↑弊社ホームページもぜひご覧下さい。




なかのひと