○「第三の柱(市場規律)」
 バーゼル?においては、開示の充実を通じて市場規律の実効性を高めることとされ、自己資本比率とその内訳、各リスクのリスク量とその計算手法等についての情報開示が求められています。

さて、特に企業経営に関係する柱は、第一の柱の「最低所要自己資本比率」です。

一般的に自己資本比率とは、総資産(分母)に占める自己資本(分子)の比率なのですが

このパーゼル?の場合

 この自己資本比率が国内業務だけの金融機関(国内基準行)は4%以上、海外拠点でも業務を行なう金融機関(国際統一基準行)は8%以上という取り決めがあり、未満であると公的資金が入ったり、国有化されたりして自由に銀行経営が出来なくなります。

分母の総資産の中に運用している資産等、つまり、皆さんの会社に貸付している債権が入ってきます。

第一の柱は、分母の算定方法を変更しており、各種のリスクに備えた数値を元に計算されるようになっております。

各企業に対する貸付債権を信用リスクごとに評価して、分母とするわけで、言い換えると企業の信用度合いによりランク付けする事を指します。これを債務者区分と言います。

「債務者区分」とは、債務者の財務状況、資金繰り、収益力等により、返済の能力を判定して、その状況等により債務者を正常先、 要注意先、破綻懸念先、実質破綻先及び破綻先に区分することをいう。金融庁 「金融検査マニュアル」より

この債務者区分ごとに、各銀行独自のリスク・ウェイトにより評価しますが、特筆すべきところは、要注意先以下の延滞債権に関するリスクウェイトが「100%」超えている点です。つまり、リスク・ウェイトが150%であれば、要注意先の延滞債権1億円は、自己資本比率算定時の分母に参入するときに1億円×150%となり、分母が増えて結果比率が下がる訳です。
延滞債権を金融機関が保有すればするほど、自己資本比率が下がり、企業経営がしにくくなるので、分母(リスク・ウェイト100%以下のもの)を増やさないように行動することが、すなわち、金融機関の融資選別(貸し渋り)であり、融資回収(貸し剥がし)なのです。

 金融庁は、金融機関の行過ぎた融資選別、融資回収を緩和させるため、平成15年3月公開、平成20年11月「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編」を改訂公開して、金融機関が中小企業に債務者区分を行う際のポイント具体的に示しています。

この改訂は金融機関が、?継続的な企業訪問等を通じて企業の技術力・販売力や経営者の資質といった定性的な情報を含む経営実態の十分な把握と債権管理に努めているか。?きめ細かな経営相談、経営指導等を通じて積極的に企業・事業再生に取り組んでいるか。といった、いわば金融機関による「債務者への働きかけ」の度合いを重視し、債務者区分の判断等においてもこの点を十分勘案することとしています。

次回、抜粋に続きます。

 文責:法人ソリューション部


にほんブログ村 士業ブログへ
↑↑ランキングに参加しています。クリックをお願いします。

Pronet Group HP
↑↑弊社ホームページもぜひご覧下さい。




なかのひと