先日、とある経営者の方から聞いた話です。
『実はわが社は、役員(親族ではない)にも、生命保険に加入してもらっているのだけれど、その方の奥さんが生命保険に加入したことに嫌悪感をもっているようなんだよ。』
会社がその役員さんを殺すとでも思ったのでしょうか?(2時間ドラマの見すぎかもしれません・・・。)

私はこの言葉を聞いて、数年前に目にしたとある中小企業の役員(以下『A』とします)とその家族のことを思い出しました。
A氏は入社以後ずっと営業畑で、トップセールスマンとしてその会社一筋に仕事をしてきました。平日は全国を飛び回り、朝も早くから外出し、帰宅も深夜、子供とまともに会話できるのは土日だけ。(もちろん、営業職の方からみたら『当たり前』 のことです。)
営業は自分の天職だと言い切り、仕事が楽しくて仕方ないといった様子でした。
そんなA氏にも会社から役員就任の打診を受けます。しかしながら、A氏は「会社を辞めたい。」と言い出しました。A氏の家族は単純であったため、何も考えず「 大変かもしれないけど、お給料上がるなら頑張れば?」といった様子でした。
A氏は、人の上に立つ難しさ、営業は得意だが経営は別ものであるということを理解していたようです。しかしながら、A氏の家族はサラリーマン→経営陣の違いを理解してはいませんでした。
もちろん、その後A氏は、サラリーマンは自分の家族のことだけを考えていればいいが、経営陣は全ての社員の家族の生活を背負わなくてはならない、そのためには覚悟が必要だということを自分の家族に説きました。そして、役員就任を引き受けることを伝えます。そこにきて始めて、家族は事の重大さに気づき、「えらいこっちゃ!! それは覚悟をきめて応援しないといけない!! 」ということになりました。
・業況悪化の際には、従業員の給料よりも役員報酬が先に削られるのは仕方ない。
・体が資本なので、よりいっそうの体調管理をしなければいけない。
など、家族の応援も大切になってきます。
サラリーマンの方の中には、「 社長は何もしなくても大金もらってるよな~。」と思われている方も多いと思いますが、その代償に一般サラリーマンでは考えられないくらいのリスクと気苦労を背負っていらっしゃいます。経営者の方が保険に入っているのも、万が一のことがあったときの当面の運転資金(皆さんのお給料です!! )を賄う側面もあるのです。

自分の親族以外の役員を登用するということは、慣れていない方にとっては難しい側面を持っています。親族以外の方を考えていらっしゃる方は、まず、きちんと「経営」 についてレクチャーすることをお勧めします。
(文責:資産税部)


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