これだけドル安が続きますと、デリバティブの損失を蒙っている方がたくさんいらっしゃると思います。
少し旧聞に属する話ですが、デリバティブにかかる銀行との紛争の解決方法の類型を簡単にまとめましたので、ご参考まで。

【解決方法の類型、パターン】
1)銀行と相互の和解
会社と銀行で個別に話し合います。

2)ADR(「裁判外の調停」のことです)
 ①全銀協(全国銀行協会相談室・あっせん委員会事務局)
銀行の団体なので、デリバティブには詳しいものの、結論が銀行寄りになる可能性があります。東京で原則1回のみの斡旋です。
 ②FINMAC(証券・金融あっせん相談センター)
証券会社の会員組織。そのため、まずは、銀行の話なのに、なぜFINMACに来たの?と言われる可能性があります。
ただし、地方にも出向くし、3回程度は斡旋の機会があります(つまり、銀行に対して、詳細な説明が無かった等の反論の機会があります)。

3)裁判
当然、お金、労力が掛かります。
論点は(上記の1,2でも同様ですが)
 ①勧誘が不適当だったのではないか
例:輸入が無い又は少ない会社に導入した)
 ②説明不足だったのではないか
例:株や為替取引の経験のない会社に導入した)
 ③商品の設計に問題があったのではないか
例:むやみにオプションがついていて商品の理解ができない)
 ④導入するよう圧力をかけたのではないか
例:同時期に融資の話があった)

です。

【決着】
通常のケースは、「お互い負担し合う」ということで決着します。(当然その負担割合は、上記の導入の経緯等により異なります)

【最終的な決済方法】
例えば、2億円の含み損があって、銀行1億円、会社1億円の負担になると、その場で、「会社から1億円の精算金を支払って」全てが終了です。
(会社から見ると、今後例えば3年間で2億円の負担=支払が必要なところ、1億円の支払で済んだということになります)
なお、税務的には、今期は、①戻入益2億円(評価損2億円を前期に計上しているため)、
②精算金の支払=特別損失1億円となり、その結果、今期には1億円の益が出ますのでその対策も必要です。
(なお、支払う1億円を、その銀行から借りたりするケースすらあるようです)

本件は、一般的に判りやすいように書きましたので厳密性に欠ける部分があるかと思います。
弊社では、私が元銀行員であった等の事情によりデリバティブの紛争の仲介は致しませんが、仲介の専門会社の紹介をすることは可能です。お困りの方、ご興味のある方は、弊社(代表電話092-474-7797)事業承継部 望月教生までご連絡ください。

(なお、デリバティブ取引の概要等につきましては、本ブログの2008年4月7日「デリバティブ取引についてvol.1」、2008年4月10日「デリバティブ取引についてvol.2」をご覧ください。)


文責:事業承継部
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