最近、税制改正の話題をよく耳にします。すっかりお馴染みとなった特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入規定(法法35条)で、新たに増税になった法人の方もいらっしゃるのではないでしょうか。またこの年は、同族会社の留保金課税制度の見直しもあり、一部不摘要措置が廃止されましたが、留保控除額の拡大で留保金課税がなされなかった法人の方もいらっしゃるでしょう。
 平成18年度税制改正で制定されたこれらの改正を、アメとムチで表現すれば、前者がムチで後者がアメと言えると思います。政府としてはアメと一緒にムチを出すことで批判をかわす狙いがあったのかもしれません。
 しかし、よほど儲かっている会社を除いて、もともと留保金課税が適用されている会社はそれほど多くなく、逆にムチばかり打たれた中小同族企業の方が多かったと思われます。特殊支配同族会社の損金不算入規定で増税になった分、留保金課税の留保控除額の拡大でそれほど納税がなかった会社は、ある程度儲かっている会社でしょうし、大企業は特殊支配同族会社に該当しないので、この二点だけを考慮すると、アメだけが与えられたことになります。
 翌年の平成19年度税制改正では、特殊支配同族会社の損金不算入規定が一部緩和され、また資本金1億円以下の中小企業については留保金課税を適用除外としました。さらに、この年の改正の目玉として、減価償却制度の抜本的な見直しが行われました。これらはすべて法人にとってアメであり、留保金課税が適用されていた業績の良い中小企業や、固定資産を多く抱える規模の大きな会社にとっては、特においしいアメとなったようです。
 先日、平成20年度の税制改正についての記事が新聞に掲載されてありました。今度の税制改正が、どのようなアメやムチになるかは分かりませんが、法人においては少なからず会社経営の方向性を左右させますし、それによっては従業員の方々の給与にも影響が出るかもしれません。税源移譲や定率減税の廃止に伴い、個人住民税が上がったと憤っていらっしゃる方も多いと思いますが、お給料への影響という面からも、社長だけでなく従業員の方々も含めて、みんなで法人税の税制改正について注目していく必要があると思います。
文責:企業税務部


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