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08年07月22日

貸倒損失について

 中小企業の会計に関する指針の中に
「法的に債権が消滅した場合のほか、回収不能な債権がある場合は、その金額を貸倒損失として計上し、債権金額から控除しなければならない。」
と、あります。
 これは会計上「経費」として計上するという意味で、税務上「損金」となるかどうかは、別の問題となります。
 中小企業の場合、会計と税務を同一と考える経営者が多く見受けられますが、注意が必要です。税務上の貸倒損失の定義として大きく次の3つがあります。

1.法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実が発生した日の属する事業年度において貸倒として損金の額に算入する。
  (1)会社更生法若しくは金融機関等の更正手続きの特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
  (2)会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
  (3)法令の規定による整理手続きによらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
    (イ)債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の整理を定めているのも
    (ロ)行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容が(イ)に準ずるもの
  (4)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

2.法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒として損金経理することができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒として損金経理をすることはできないものとする。

3.債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権について法人が当該売掛債権の額から備忘価格を控除した残額を貸倒として損金経理したときは、これを認める。

不良債権を税務上「損金処理」するには事前に税理士へお尋ねすることをお勧めします。
参考図書 中小企業の会計に関する指針

文責 北九州支店


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なかのひと
08年07月22日 | Category: General
Posted by: pronet
会社を経営されている方は、「会社の事業にかかった費用は、税務上の費用になる」と認識されていると思います。

一方、会社の決算の時期に税理士等から「会社にかかる法人税、住民税は、税務上の費用にはなりません」と説明を受けて、「あれっ?」とか「へぇ〜」とか思った方もいるかもしれません。

そうなのです。法人税、住民税は税務上の費用になりません。どうしてでしょうか?判りやすく説明している書物が見当たらないのですが、筆者の私見を含めて、以下に説明します。

「会社の決算」にかかる税金には、
 (1)法人税
 (2)住民税(県民税や市民税等です)
 (3)事業税 
等があります。

同様に、「個人の決算」にかかる税金には、(1)所得税、(2)住民税、(3)事業税(但し、一定の事業を行っている場合のみ) 等があります。
「個人の決算」においては、事業所得、不動産所得等に計上される「事業を行っている場合の収入」に加えて、給与所得、雑所得等に計上される「その人の一身に属する家事的収入(=事業以外の収入)」も含めて、
 (1)所得税
 (2)住民税
が計算されます。

そのため、その結果生じる
 (1)所得税
 (2)住民税
は、その計算に家事的収入(=事業以外の収入)が含まれることから「家事関連費」と解釈されるため、事業を行っていても、税務上の費用にはできないと考えます。(なお、厳密な議論では、「所得の発生後において、その所得の帰属主体である「人」を対象として課税されるいわゆる「人税」といわれるもの」で、これは税務上の費用にはできない、とされています)

一方、
 (3)事業税
は、事業を行っている場合にのみかかるため、「事業に係るもの」ということで税務上の費用になります。

 「会社の決算」においてかかる
 (1)法人税
 (2)住民税
も、個人事業との「課税の公平(個人事業者と会社事業者間での不公平を無くす)」の意味から、税務上の費用にはなりません。なお、
 (3)事業税
については、個人の場合と同様に、会社においても税務上の費用になります。

なお、法人税、住民税が税務上の費用にならない理由を、他の書物では「法人の利益の中から納付すべきものであるため」、「所得課税としての性格」「税額を算定するための所得計算上の要請により」等書かれています。判りにくい表現ながらそういう面と筆者の説明を含め、総合的な判断の上、このように決まっているのだと思います。

最後になりますが、上記の説明に、消費税が出てきません。消費税は、個人の場合も法人の場合も、税務上の費用にできます。これは「導入の経緯」からそうなっています。

文責 事業承継部


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なかのひと
08年07月22日 | Category: General
Posted by: pronet