例えば、外国為替レートが1ドル83円から、80円になりました。
このとき、皆さんは、どう言いますか?
少し詳しい方は、「円高」と言いますよね。日経新聞やNHKでもこう言います。因みに、83円から85円になったら「円安」となります。「この言い方って、とっても判りにくい。だから、外国為替のことは判らん!」と思っている方はいませんか?
そうなんです。この言い方はとっても判りにくいのです。数字が小さくなっているのに「円高」、数字が大きくなっているのに「円安」というのはそれだけで、とっても判りにくいのです。
私は、20年ほど前になりますが、東京の銀行のディーリングルームに勤務していました。ディーリングルームでは皆迷わず、「ドル安」または「ドル高」と言います。それが道理にかなっており、単純明快で、一瞬で判断する(頭が筋肉でできた)ディーラー達が最も理解しやすいからです。
他の例で言います。例えば、『ガソリン』が140円から130円になったときには、皆が「『ガソリン』が安くなった」と言います。「ガソリンに対して、円高になった」という人はいません。
外国為替相場で83円というのは、『ドル』という商品が83円であることを言っています。したがって、『外国為替におけるドル』でも『ガソリン』と同様に、83円から80円になれば「『ドル』安」と言うのが道理なのです。「円高」という言い方は、「83円から80円になって、ドルに対して円が高くなった」ということなので、さっぱり訳が判らなくなります。
「ドル安」「ドル高」と言うと、状況が良く見えるようになります。83円から80円になったことを「ドル安」というと「ああ、ドルが安くなって、輸出企業は輸出で稼いだ『ドル』を83円ではなく80円でしか売れなくなるので、ドル安って、日本経済とりわけ輸出企業には良くないんだな」と理解できるようになります。
先ほども述べたように、マスコミも、日本の通貨が円だからだと思いますが、円高、円安で統一しています。繰り返しますが、この言い方をドル安、ドル高というとどれだけ判りやすくなり、理解が進み、日本中の皆さんのストレスが無くなることでしょうか。
経理の世界でもこれと似たことがあります。「預金通帳の貸借(左右)」の記載と、通常の「元帳の貸借(左右)」の記載とが、逆なのです(因みに、ゆうちょ銀行の貯金通帳は、元帳と同じです)。これも、識者に言わせると、銀行サイドから見た記載方法とのことですが、このように、左右が元帳と違うことが、簿記や記帳が嫌になる方が多い理由の一つなのではないかと思ってしまいます。これは銀行サイドが、貸借(左右)を変えてくれれば、日本中の経理の担当者が喜ぶ話ではないかと思います。政治の状況が危機的な状況であるからこそ、こういう細かいことを一つづつ変えて判りやすくする努力(啓蒙)も必要だと思っています。

文責:事業承継部
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