第五次医療法改正により、平成19年4月1日以降については持分の定めのある医療法人が設立できなくなり、設立することができる医療法人が、財団法人または残余財産が国・地方公共団体や他の医療法人に帰属するという基金拠出型医療法人となっています。

この改正後、既に4年が経過しようとしていますが、基金拠出型医療法人はまだまだ設立件数が少ないです。その原因としては、やはり残余財産が国等に帰属してしまうという規定にあるのではないでしょうか。
院長先生が身を粉にして働かれ、毎年利益を積み立てていかれても最終的には自分の財産とならないとなると、医療法人を設立しようとは考えにくいことです。
もちろんメリットがないわけではありません。基金拠出型医療法人は持分評価という概念がないため相続税の面から考えると持分評価の問題がある経過措置型医療法人よりは有効ですし、後継者がいる場合には医療法人の解散という問題が生じないためデメリットを考える必要もありません。
ただし、実際問題では先生のお子さんやその他、後継者として考えている方が将来的に100%病院を継いでくれるという保証はありません。

私は必ずしも基金拠出型医療法人を設立しない方がいいと言っているわけではありませんが、この医療法人を設立するからには国等に残余財産をもっていかれないためにも10年後・20年後にわたる役員報酬と役員退職金の算定・医療法人の予測利益を事細かく考え、同時に後継者への承継や医療法人の将来を考える必要があると思っています。

医療法人は一般的な法人である株式会社とは異なり、医療法と税法という異なる法律が存在するため、ただ単に法人税や相続税の軽減という税務上から医療法人を設立することは税法上では利点があったとしても医療法の縛りにより将来的に何らかの弊害が生じてしまう可能性があります。
医療法人の設立にあたっては、まず医療法・税法の両側面からメリット・デメリットを考え、長期的な将来設計のビジョンを明確にする必要があるのではないでしょうか。

文責 医業部
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