一般的に事業承継は親から子供にバトンタッチされることが行われますが、実際には創業者自身がやや頼りないと思われる自分の子供に事業の全てを無条件に託すことが出来ないで、トラブルが発生している中小企業が多いのではないでしょうか。

 確かに親から見たら子供はいくつになっても子供のままだと感じることはやむを得ないことかもしれませんが、最初から何事も無難に経営できる後継者は存在しないと思われます。ご子息はわからないなりに一所懸命何とかしていこうとされるのですから、もう少し長い目で指導して差し上げることが必要です。

 一方、後継者自身も創業者とは違った経営を考えて変革をしていこうと思うあまりに、創業者である親との関係がしっくりいかなくなってやる気を失っている状況をよくお見かけいたします。自分の思ったとおりに伸び伸びと経営したい気持ちは理解できますが、そこには商業者のご苦労や会社の歴史があり、生活の糧を稼ぐ社員がいるのですから、もっと冷静に創業者とのコミュニケーションを図る努力が必要です。

 更に、両者の間に仲裁役がいるかいないかで事業承継がスムーズに行くかどうかが左右されます。創業者の妻であり後継者の母となる専務や顧問税理士などの役割如何によって意味のある事業承継が可能になるといえます。私自身もこのような相談のご依頼には、親子関係独特の事情を考慮して対応するようにしています。

 事業承継は単なる数字上の引継ぎではありません。「企業は人なり」である以上、人から人へのバトンタッチに存在している思惑やしがらみを整理しながらじっくり腰をすえて取り掛かることが重要です。身内の中で非常に近い関係にある親子関係において、お互いに譲り合うべきところは譲り合い、意見を主張すべきところは冷静に事実を分析して客観的に話し合っていきましょう。親子なのですから、話せば必ず分かり合えるはずです。

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