相続人間で相続財産を分割する方法として、最もメジャーな方法が現物分割です。とは言え、相続人全員の希望を完全に満たすものではありません。

そこで、現物分割と併用して実務上多用されるのが「代償分割」という分割方法です。相続人の1人又は数人が相続財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の相続人に対して金銭などの資産を交付する方法です。

極端な例を挙げると、相続財産が自宅しかない場合、複数の相続人で分割するのは大変難しく、誰もが納得できる分割をするのは困難です。代償分割を行えば、自宅が欲しい相続人と現金が欲しい相続人の折り合いをつける事が一気に可能になります。しかし、自宅を相続した者の手持ち資金が少なければ、せっかく相続で取得した自宅を売らなければならないケースも考えられます。この為、代償分割を提案する際は、お客様の心の問題とキャッシュフローを同時に解決する必要があるのです。

代償分割により交付するのは、何も金銭だけに限られている訳ではありません。もともと所有していた土地、建物、有価証券等でも構いません。この場合注意しなければならないのは、「この代償分割には、所得税が課税される」ということです。代償財産が譲渡所得の基因となる資産である時は、交付した者がその交付した時の価額により譲渡したことになり、譲渡所得に係る所得税が課税されることになります。

ただ、あらゆる分割の方法を組み合わせても、それでもなお相続人全員の希望を充足できないのが遺産分割の現実です。何を提案しても、家族の結束こそが一番の「遺産分割」と感じる毎日です。
文責 資産税コンサルティング部


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