1.DES(デット・エクイティ・スワップ)とは

 デット(債務)とエクイティ(資本)をスワップ(交換)することです。債権者の側から見ると債権の株式化であり、債務者の側から見ると債務を資本化することをいいます。一般的には、債権者が債権を現物出資することにより債権と株式を交換する方法がとられます。

 債務者にとっては負債の部が減少し純資産の部が増加することによって財政状態を改善することができ、自己資本比率の上昇を図ることができます。
 一方、債権者にとっては、債務超過会社に対する不良債権を放棄しないで株式に交換しておいて、将来的にその債務超過会社が経営再建をすることができ、株式の価値が上昇すればそこからキャピタルゲインを得ることが可能になります。また、合理的な再建計画等に基づいてDESが行われたときは、株式の時価と消滅した債権の帳簿価額との差額は貸倒損失等として全額損金の額に算入できます。


2.平成18年度税制改正による影響
 
 上記1.のようにDESは経営不振により債務超過に陥った企業を再建させる手法として最も多く利用されてきました。従来は法人税法上も商法(会社法)と同様に債権を額面で評価するという券面額説がとられており課税関係は生じないとされてきましたが、平成18年度法人税法改正により、法人税法上は債権を時価評価するという評価額説が採用されることとなりました。
 
 この改正により、債務企業側では評価額が額面金額を下回る場合には、券面額と評価額との差額が「債務消滅益」として益金の額に算入されることとなりました。
DESは債務超過会社を再建するために大変有効な手法でありましたが、この税制改正により現物出資型のDESについては大幅にその利用頻度は減少するのではないかと思われます。

 なお、青色欠損金の繰越控除が多額にある会社であれば、債務消滅益と青色欠損金を相殺することによって、債務消滅益に対して課税されることはないでしょう。また、期限切れの欠損金しかない場合や資産の含み損を抱えている会社の場合には、法的整理手続(会社更生法等の規定による更正手続開始の決定等)等を行った場合にのみ債務消滅益との相殺が認められています。
文責:企業部


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