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医療機器等(*1)の特別償却とは、「医療機器等を取得して医療保険業の用に供した場合、通常の減価償却費に加え、特別償却費として一定の金額を上乗せして減価償却をすること」をいいます。よって、通常の減価償却費よりも多くを費用化することができ、利益が多い医療法人医院様・個人クリニック様の場合は、法人税・所得税が少なくなるというメリットがあります。

医療用機器等の特別償却は、昭和54年創設以降、一部を除き、約2年ごとに延長・改正が繰り返され、前回の改正は、平成23年に改正の施行が行われました。これにより、平成23年4月1日から平成25年3月31日迄の期間に取得し、医療保険業の用に供した場合には、改正・延長後の税制が適用されます。しかしながら、情報基盤強化設備等を取得・導入した場合で、かつ、中小企業者に該当しない場合には、平成22年3月31日をもって、医療機器等の特別償却を使用することは認められなくなりました。更に、中小企業者に該当する場合であっても、平成22年4月1日から平成23年6月30日迄の指定期間に該当する場合には、医療機器等の特別償却を使用することが認められていましたが、社会政策上の配慮から、平成23年7月1日以降に取得し、医療保険業の用に供した場合であっても適用対象外となりましたのでご注意頂きたい。
下記は、特別償却額の計算と改正前後の対象資産に対する償却率になります。是非、御参照下さい。

◎特別償却限度額の計算と改正前後の対象資産に対する償却率
1.新品の医療機器を取得した場合(取得原価×償却率)
対象資産                        改正前   改正後
高度・先進医療の提供に資する医療用機器(※4)・・・・・・50%    12%
医療の安全に資する医療用機器・・・・・・・・・・・・・・20%    16%
新型インフルエンザ対策に資する医療用機器(※5)・・・・・20%    廃止
注).中古の医療機器を取得した場合には、適用できません。青色申告の要件が必要です。リースの場合は適用がありません。

2.建物の増改築や立替えを行った場合(所得原価×50%×償却率)
対象資産                      改正前   改正後
特定増改築施設(※6)、建替え病院建物(※7)・・・・・・15%    廃止


3-1.情報基盤強化設備等を導入した場合(取得原価×償却率)
対象資産                      改正前   改正後
電子カルテなどのソフトウェア・電子計算機等・・・・30%  H22以降 廃止
          中小企業者については・・・・・・・・・・H23.7以降廃止
3-2-1.情報基盤強化設備等を導入した場合(法人) (取得原価×70%×償却率)
3-2-2.情報基盤強化設備等を導入した場合(個人) (取得原価×償却率)
   対象資産                    改正前   改正後
サーバー用の電子計算機やソフトウェアを導入した場合・50%  H22以降 廃止
         中小企業者については・・・・・・・・・・・ H23.7以降廃止
注).税額控除限度額・税額控除限度超過額の繰越しは、情報基盤強化設備等にのみの適用が認められていましたが、各廃止に伴い、税額控除限度額・税額控除限度超過額の繰越しも廃止となりました。

脚注
*1.「医療機器等」とは、措置法第45条の2第1項第1号に掲げる資産(*2)(以下「療用機器」という。)であり、直接医療の様に供される機械及び装置並びに器具及び備品をいうものとし、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「8医療機器」に掲げる減価償却資産(*3)はこれに該当します。
*2.措置法第45条の2第1項第1号に掲げる資産とは、措置法令第28条の10第1項に規定する機械及び装置並びに器具及び備品の1台又は1基の取得価額が500万円以上であるかどうかについては、通常1単位として取引される単位ごとに判定するのであるが、個々の機械及び装置の本体と同時に設置する附属機器で当該本体と一体となって使用するものがある場合には、これらの附属機器を含めたところによりその判定を行うことができるものとする。
*3.耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「8医療機器」に掲げる減価償却資産とは、消毒殺菌用機器・手術機器・血液透析又は血しょう交換用機器・ハバードタンクその他の作動部分を有する機能・回復訓練機器・調剤機器・歯科診療用ユニット光学検査機器(ファイバースコープ他) 等。
*4.高度・先進医療の提供に資する医療用機器とは、医療の安全に資する医療用機器以外の機器。
*5.医療の安全に資する医療用機器とは、人工呼吸器・シリンジポンプ・生体情報モニタ(但し、人工呼吸器と同時二設置するものに限る。)・生体情報モニタ連動ナースコール制御機・自動錠剤分包機・注射薬自動払出機・医療情報読取照合装置・調剤誤認防止装置・分娩監視装置・特殊寝台 等。
*6.特定増改築施設とは介護保険法に規定する介護療養型医療病床等で一定の病床、又は医療法に規定する療養病床を、介護保険法に規定する介護老人保健施設等とするための増築又は改築によって、取得又は建設した建物及びその附属施設をいいます。
*7.建替え病院建物とは、自己の営む医療保険業用に使用していた病院用又は診療所用の建物及びその附属設備について、その用途を廃止し、これに代わるものとして新たに建設されたもので、医療法の規定に基づく病院又は診療所の施設及び構造設備の基準を満たすものをいいます。

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なかのひと

12年08月28日 | Category: General
Posted by: pronet
12年08月24日

シューカツ

皆さんは「シューカツ」という言葉を聞いてどの言葉を思い浮かべますか?私は『就活』を最初に思い浮かべたのですが、最近は別の言葉があるようです。それは『終活』。つまり、自分の人生の悔いなく終わるための活動といった意味でしょうか?

8月19日のフジテレビ系列『Mr.サンデー』で取り上げられていました。(宮根誠司さんと滝川クリステルさんが司会を勤めている番組です。)私は、資産税部という相続にかかわることが非常に多い部署に所属しているので、とても考えさせられる内容でした。

元気なうちに、他の方に迷惑かけずに、人生最後のイベント『お葬式』を『私らしく』とりおこなってほしい・・・。そんな方が増えているそうで、死装束のファッションショーや、通夜ふるまい等の試食会、遺骨から作るダイヤモンド!!まであるらしく、私の想像をはるかに超えていました・・・。

生前に模擬葬儀や樹木葬の見学会に参加された方は、インタビューで
・自分の夫を見送った際に500人の参列者がおり、非常に大変であった。
・子供は一人娘で嫁いだため、墓を世話する人がいないので、迷惑をかけられない。
と語っていました。気持ちはよくわかります。私も身内の不幸で、『田舎の葬儀は参列者が多くて非常に大変!! 参列していただけるのは非常にありがたいけれども・・・。』と正直なところ感じました。すみません・・・。

ちなみに、このような見学会に参加されたりするのは、元気な団塊世代、パワーシックスティーが多いそうで・・・。ここまではありませんが確かに、私の母は『 私の遺影はきれいな花に囲まれた写真にしてね』 と言っています。

そして番組では、元気な団塊世代の夫婦が番組中にエンディングノートを二人で書いてもらっていました。長年連れ添った夫婦でもお互いの若い頃に熱中していたものを初めて知ることになり、新たな発見があったようです。

私たちは、遺言書のご相談を受けることが多いのですが、医療への希望(延命措置など)、万が一のときは連絡して欲しい人、寝たきりや認知症のときに財産管理は誰にお願いしたいか、葬儀はどうしてほしいかなどは、その方の生前の希望であるため遺言書に記載することのない情報となります。

遺言書にも付記事項として思いを記載することも可能ですが、あくまでも亡くなられた後の希望を記載することになります。(通常は、亡くなった後に開封しますので)エンディングノートは遺言書では残せない思いをご家族に伝えることができる有効な手段といえます。また、親がどんな人生を歩んできたのか・・・。子供さんにとってもすばらしいプレゼントになるのではないでしょうか。

『遺言書、書かなくちゃいけないのはわかるのだけど、まだ書く気がしないんだよね・・・。』このようにおっしゃる方が多いのも事実です。しかし、人生はいつエンディングを迎えることになるのかはわかりません。

少し前に漫画家の江川達也氏は実父の相続でお兄さんと裁判沙汰になったことが報道されたことを記憶されているかたも多いと思います。江川氏は『自分の妻や子供に迷惑をかけたくないので裁判を起こした』ということです。後々のトラブルを避けるためには、早めの対策が必要なのです。

遺言書を書くのは気が重いのも十分わかります。まずは、エンディングノートでお気持ちを整理することをお勧めしたいと思います。

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なかのひと

12年08月24日 | Category: General
Posted by: pronet
経理をしていて、まずつまずくのが、「貸方(かしかた)」、「借方(かりかた)」という言い方ではないでしょうか?あれ右がどっちだっけ?左がどっち?という経験は、初学者ならずとも皆持っているのではないでしょうか。

「貸方」、「借方」の意味、由来、語源、理由は、諸説がありますが、以下の解釈が最も古いと思われます。

「フィレンツェのある銀行家によってなされた1211年の日付をもつ勘定記録」というものがあります。これには、銀行がA氏に対して「貸付」を行った記録が、(A氏は返済義務を負うため)「われわれに対して与えなければならない(no die dare = is due to give us)」と表現され、複式簿記の左側を呼称する「借方(dare)」に発展したとされています。
但し、この勘定記録には「貸方」の原型を見出すことはできません。

次に、フィレンツェ地方で商人記録として最も古いとされる「リニエリ・フィニーの元帳」は1296年から1305年にかけてシャンパーニュの大市でおこなったフィニー商会の長男リニエリによって記録された金銭貸借記録および商品売買取引です。
リニエリが行った「貸付」の結果、債権が生じた場合は「de dare(与えなければならない)」などの言葉が冒頭に記載されて記録が始まります。「与えなければならない=返済しなければならない」すなわち「借りている人=借方」となります。
また、受け取るべき利息が生じた場合は「de avere(持つべき)」という言葉から記録がはじめられており、つまり「受け取らなければならない=貸している人=貸方」となります。

うーん、判りにくいのですが、要は、「証拠」として、自分が「貸している」場合は、「借りている人=借方」と「見出し」をつけて「記録」したということのようです。

ここで問題なのは、現在においても引き続き、「自分が貸している(貸付金)」のに貸借対照表の左側で「借方」と表現していることです。反対に「自分が借りている(借入金)」場合は右側で「貸方」となります。右か左かを識別するのに、「自分から」見て「反対側の言い方」をしているため、識別の意味がなく、逆に混乱を招いてしまっています。また、貸方、借方ともに「か」から始まることが更に識別しにくくしています。
と言う訳で、貸方、借方の由来や理由は別にして、こういう言い方はやめるべきだと思います。因みに、簿記の学校では「貸方、借方は意味がありません。単に右、左の意味だけです」と説明しているところもあるようです。だったら、いっそ「右側」、「左側」と言った方が判り易いと思います。

「右側」「左側」という言い方を使わないなら、私は、右側を「元方(もとかた)」、左側を「先方(さきかた)」と言うことを提唱します。
理由は、貸借対照表と、左右に並べた損益計算書では、「お金は、右から左に流れる」からです(詳しくは2012年4月4日付の当ブログにある「今さら人に聞けない決算書の読み方」の説明を聞いてみてください)。その上で、両者に「出(で)」を付けて、「お金の出元(でもと)=右側」「お金の出先(でさき)=左側」と考えるとだんだんお金の動きのイメージが湧いて来ませんか?
なお、「元方(もとかた)」、「先方(さきかた)」の他にも、「右側=入方(いりかた)」「左側=出方(でかた)」という言い方も考えましたが、現金預金の記帳の際にイメージが逆になるので、「元方」、「先方」の方がしっくり来るように思います。

最後に本内容は、筆者の個人的な見解であり、税理士法人プロネットの見解では有りませんことを申し沿えます。

文責:事業承継部

(参考文献)
「会社記録の基礎 ㈱中央経済社 工藤栄一郎著」
「中世イタリア複式簿記生成史 ㈱白桃書房 橋本寿哉著」
「歴史から学ぶ会計 同文舘出版㈱ 渡邉泉著」
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なかのひと

12年08月20日 | Category: General
Posted by: pronet